[記事概要]

  • 経済産業省は、日本におけるノベーションの好循環を生み出だすことを目的とした「産業技術ビジョン2020」を公表した。
  • 現在の問題意識として「近年の日本のイノベーションを巡る状況は芳しくなく、また、Society5.0への準備が整っていないことが今回の新型コロナウイルスによる危機によって浮き彫りとなった」との認識を示し、下記2点の必要性を提起した。
    1. 「我が国は、SDGsの達成やサーキュラーエコノミーへの移行、災害・感染症対策等の社会課題の解決に対応するとともに、産業競争力の強化を図っていくため、一層のイノベーションの創出を必要としている」
    2. 「改めて、日本のイノベーションシステムが抱える本質的な問題を捉えつつ、産業技術という切り口から中長期的な視点で解決すべき課題を特定し、イノベーションの創出に取り組む必要がある」
     
  • こうした問題意識から、2050年に向けた5つのグローバルメガトレンドと世界の動向を踏まえながら、日本が抱える本質的課題を仮説として特定し、2050年の産業技術の方向性、2050年までに実現すべきこと等を「産業技術ビジョン2020」として取りまとめた。
  • 「産業技術ビジョン2020」では、2050年に向けて、地球規模で下記の5つが今後を展望する上で不可避な世界の潮流であると示した。
    1. 世界人口のピークアウト
    2. 資源・環境制約が経済社会に転換をもたらす
    3. 第4次産業革命を通じたデジタルエコノミーへの移行
    4. 地政学的リスクの高まり
    5. レジリエンスの重要性の高まり
  • 対応の方向性として、以下3つのレイヤーを提示した。
    1. 【レイヤー1】「個」の開放によるイノベーション力の強化 [基盤づくり]
      1. スタートアップエコシステムの形成、投資環境の改善(短期)
      2. 高度人材の呼び込みと留学・在外派遣、リカレント教育(短中期)
      3. 知的資本の国内供給システムのアップデート(中長期)
    2. 【レイヤー2】技術シーズを競争力につなげる研究開発・ビジネス戦略の重視 [技術至上主義からの脱却]
      1. イノベーション産業におけるレイヤーマスターを目指す研究開発
      2. ものづくり・部素材分野におけるグローバルニッチトップ 2.0
      3. 不確実性を考慮したリスク管理・ポートフォリオのための研究開発戦略
    3. 【レイヤー3】知的資本主義経済を見据えた研究開発投資の重点化 [リソースの戦略的集中]
      1. Society5.0 を実現する Intelligence of Things とそれらを支えるデジタルテクノロジー
      2. バイオテクノロジー
      3. マテリアルテクノロジー
      4. エネルギー・環境
  • 最後に「日本のイノベーションの停滞は、根深く複雑な課題であり、単一の特効薬は存在しない。3つレイヤーの取組を一体的・総合的に推進し、イノベーションの歯車を動かしていく。」と締めくくった。

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